素敵な選TAXI

娘から教えてもらったバカリズムの「ホットスポット」を10話通しで鑑賞し、手放しで世代を超えた面白さを体験させてもらいました。その後しばらくして「素敵な選TAXI」を第1話からスペシャルの「湯けむり連続選択肢」まで11話を通しで見たのですが、そのうちの何話かはエンターテインメントを超えて、みぞおちに重いボディブローを食らったような余韻の残るシーンが散りばめられていました。個人的に強く印象に残っているのは仲村トオルが演じる第2話の「今と昔の選択肢」と第8話の「夫と妻の選択肢」、そして特に第10話の「僕と君の選択肢」です。ドラマのラスト近くで過去にタイムスリップするために走っているタクシーの中から偶然ある人を見つけ車を止めてもらい竹野内豊がポツリと言うセリフで究極の左フックをあびノックアウトされその後しばらく瞑想状態に入ってしまいました。それから、スペシャル編の「湯けむり連続選択肢」ですが、限りなく美しく風情のあるロケ地でそれぞれ個性的な人々が織りなす人生の伏線が一見離散しながらも最後には一点に収束されてゆく脚本家の手腕は見事で、松重豊の過去を背負った男の哀愁ただよう快演にもただただ感心させられるばかりです。逆説的ですが、こうしたさりげないドラマの中にも内面の深みにダイブできるボイドへの入り口があることに気付かされました。

 

 

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