一.

石畳の傍らに咲く 朝露に濡れたドクダミの花は
永い眠りから覚めた万葉の記憶

ハイカラな洋服を着た子供が 土壁に不思議な絵を描く
割れた鏡に映された天平の女の臍

名の知れた古都の喫茶店に置かれた陶磁器は
ペルシアの切子ガラスに屈折する

過ぎ去る夜に今は昔の場所をさがす
路地に溜まる碧い水は忘却の水平線

永劫の回帰を旅する人よ