アードベッグの空き瓶

アードベッグの空き瓶が
曇りガラスの光を透して鈍い緑色に染まる雨の日曜日
私は再びあの暗く小さな空間の中で
海の底を漂う電気クラゲの夢を見ていた
君は憶えているだろうか

庭のプラネタリウム

今は昔、庭はプラネタリウムだった
星座早見盤に浮かび上がるの魔術的な暗号
夜のしじまの星座の中を悠々と移動してゆく
その小さな光の正体を僕は知りたかった

玉葱の隕石

新聞の折込チラシに掲載された
隕石の散りばめられたターコイズブルーの腕時計
神秘的なパワーを持っているという
その夜少年は窓格子の隙間から見える公園の中に
不思議な光を放つ隕石を発見した
真夜中、高鳴る鼓動を抑えつつ秘かに家を抜け出し
その光の場所にたどり着いたとき
妖しい光を放っていた隕石は既に玉葱の皮となっていた

シュレミエルの恋

たとえそれが、
線香花火の火花よりも
さらに短く儚い恋だったとしても
宇宙開闢から終焉までの
凝縮されたパッションにも勝る
恋ってあるんじゃないかな
たとえそれが、
大銀河の場末の星に存在した
唯一の意味だったとしても

無窮の孤独

ゼロの意味を理解できるだろうか
無限の意味を理解できるだろうか
ゼロは今までここにあったものが
消えて失せてしまうことではない
ゼロは無限収束の刹那でしかない
宇宙を埋め尽くす無数の星たちは
静かに君のことを見守っているよ
だから君はひとりなんかじゃない